Compulsory Science No.68




「エネルギー問題 The Energy Issues」
 


   It is said that we cannot use the oil for 40 years in the future. But, in my childhood days I heard the same phrase. What is the truth?

 私が小学生の時代に、石油はあと40年ぐらいでなくなると言われていました。今もあと40年ぐらいでなくなると言われています。どういうことなのでしょうか。

 図は、石油の消費可能年数を示しています。石油の埋蔵量から生産量を引いたものです。


 これは、何を意味するかというと、石油の埋蔵量はよく分かっていないということです。年々、埋蔵量が増えているのです。探査技術、採掘技術が発達しているのです。また、私が最近見た映像では、探査が続けられている海底油田には、100年から200年の埋蔵量があると見積もられているそうです。

 つまり、技術の進歩が資源問題を解決しながら人類は発展してきたということです。資源問題解決の顕著な例としては、1913年のハーバー・ボッシュ法による空中窒素の固定があげられます。それまでは、窒素源は、チリ硝石に依存していましたが、この方法により膨大な量の肥料と火薬を生産することが可能になったのでした。

 1972年に出版され話題となった「成長の限界」という本では、金は1981年に枯渇、銀、水銀は1985年に、亜鉛は1990年に枯渇、石油は1992年に枯渇すると予測していました。現在の消費可能年数は、金31年、銀28年、亜鉛55年、石油40年です。採掘技術、精製技術、利用技術が進歩したのです。

 物を大切にする、浪費しないようにすることを教えることはとても重要だと思います。しかし、資源問題は、リサイクルや節約を主な手段として解決されてきたわけではありません。技術の進歩により解決してきたのです。この点を見落としてはいけないでしょう。

 また、リサイクルは、エネルギーを消費することを考えなくてはいけません。回収する手段に車を使います。再生するために工場の電気を使います。これらは、主に石油に依存しています。ペットボトルは、石油を原料としていますので、それを再生するために、さらに石油を使っているのです。紙の再生が行われていますが、森林で紙に使用されているのは3 %です。しかも、先進国の紙の原料となる森林は、増加しています。途上国の森林は、減少しています。これは、薪に使ったり、焼き畑農業を行ったりしているものが多くを占めています。二酸化炭素の排出が増えていますので、植物の生育が促進されるという側面もあります。

 エネルギー問題を解決するものとして太陽電池、風力発電が期待されています。これらは、いずれもまだ高価なものです。高価であるということは、つくるときにエネルギー、つまり石油が多く使われていることを意味します。ですから、太陽電池、風力発電は、相当長い間機能しないと作成時に使われたエネルギーを回収できません。現状の技術では、回収できるところまでは、いっていないようです。ということは、本質的には、環境にはまだやさしくないということです。回収できるようになれば、石油にとって代わる可能性があります。

   ※「環境危機をあおってはいけない」Bjorn Lomborg 山形浩生/文藝春秋 2003年

「まぐまぐ(電子書店)」http://www.mag2.comに掲載
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