Compulsory Science No.67




「環境ホルモンEndocrine disrupting chemicals」
 


   When I read this book, I thought that I must reconsider the harmfulness of endocrine disrupting chemicals for human being. We should know definition of endocrine disrupting chemicals and the effect endocrine disrupting chemicals of for human being.

 環境ホルモンは、いろいろなところで大きく取り上げられていますし、衝撃的な写真があったりして、かなり深刻な問題だと思っていました。しかし、この本を読むと、環境ホルモンの存在自体を怪しく感じました。生物への影響を考えるのは、本当に難しいことです。

「言葉の問題」
 環境ホルモンの正式名称は、外因性内分泌攪乱化学物質です。英語を見て頂ければお分かりかと思います。endocrine内分泌、disrupt混乱させる、chemicals化学物質となっています。もちろん、environmental hormoneもありますが、endocrine disrupting chemicalsが一般的なようです。通称、EDCです。この外因性内分泌攪乱化学物質だと多くの人には知られなかったのではないかと言われています。また、この関係の本の出版物は、年々減っています。今は、話題になった時期に比べて10分の1しか発行されていません。

「環境ホルモンが原因でオスのメス化がおこっている」
 これは、かなりショッキングな現象として報道されました。高校の生物の参考書にも貝のメス化の写真が掲載されています。しかし、動物のオス、メスは、それほど固定されたものではありません。人間と同じように考えてはいけないのです。例えば、魚では、同じ個体が卵巣と精巣を持っている雌雄同体のものはかなり多いことが知られています。ですから、若年でメス、年をとったらオスということもありますし、集団の中で体が大きいのがメスになるということもあります。貝のメス化に関しては、原因は、環境ホルモンではなく、船体塗料に混入されているトリブチルスズ化合物(tributyltin compound TBT)であることが80年代の初頭には分かっていました。また、このTBTは、法律で規制され、海水のTBT濃度は確実に減少しています。

「若い人の精子が減少している」
 これこそ、データ数が少なく、条件を統一することが難しいものです。平均精子数を出すことさえ難しいと言われています。一般にデータとしてとられているのは、不妊治療の場合です。そうでない健常者のデータを取ることは難しいのです。また、同じ人でも、季節、禁欲期間、心理的な影響によって、20倍もデータが異なると言われています。実際、話題となった論文のデータを見ると、同一地域で永年に渡って調べられたものではありません。地域差の違いを見ているだけかもしれないとも言われています。日本人に関しては、過去のデータの蓄積がないので、明確なことは何も言えないようです。

   ※「環境ホルモン」西川洋三/日本評論社/2003年

「まぐまぐ(電子書店)」http://www.mag2.comに掲載
読者数 1500





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