Compulsory Science No.66




「ダイオキシン Dioxins」
 


   When I read this book, I thought that I must reconsider the harmfulness of Dioxins for human being. We should know the mechanism of production of Dioxins and the relationship between effect for human being and the concentration of Dioxins.

  Dioxinsというと、この本を読むまでは、塩化ビニルを燃やせば出るものであり、人体に極めて有害であるという認識でした。だから、身の回りから焼却炉が消えたときにも何の違和感もありませんでした。しかし、真実は違っていたようです。

「Dioxinsは、天然物であり、森林火災でも生じる。」

 ですから、Dioxinsは、森が存在した3億年以上も前から存在しているのです。決して塩化ビニルの焼却だけから生まれるのではないのです。Dioxinsは、炭素C、水素H、酸素O、塩素Clの化合物ですから、これらを含むものを燃やせば必ず生成します。しかも、2002年8月に行われた「ダイオキシン国際会議」でも塩ビとDioxinsを結びつけた発表はなかったそうです。

「現在のDioxinsは、燃焼の結果生じたものではなく、過去に使われた農薬の結果である。」

 1960年代、1970年代に使われた農薬に含まれたDioxinsの分解が遅いため、それが環境中に蓄積されているそうです。現在は、禁止されている水田除草剤などの農薬だそうです。この量がとても多かったため、残っているそうです。しかし、それでも、地質調査によると江戸時代の2倍程度ということです。

「Dioxinsでは死なない。」

 私達は、1日約100 pg(ピコグラム、1兆分の1)のDioxinsを摂取しています。その95%は、食品からです。その4分の3は魚です。この量でDioxinsの危険量30 μgまで摂取するには、モルモットのDATAによれば820年必要です。サルのDATAだと7万年、ハムスターのDATAだと680万年必要です。私達の身の回りには、Dioxinsより毒性が強いボツリヌス菌(5000倍)、ブドウ球菌(500倍)、フグ毒(5倍)があります。

「日本人のDioxins濃度は減っている。」

 日本人のDioxins摂取量の変遷を調べた結果、1975年以降一貫して減っています。これは、厚生労働省のDATAです。また、大阪府立公衆衛生研究所による母乳中に含まれるDioxins濃度も同様に1975年以降減っています。これらのDATAからも焼却炉とDioxinsの関係がないことも分かります。

 毒性は濃度を考えないといけません。Dioxinsは分析機器の発達の産物だとも言われます。30年前では、検出できなかったからです。Dioxinsは、通常pg(10-12)のレベルで検出されます。しかし、危険レベルは、μg(10-6)です。つまり、106(100万)倍もの違いがあるのです。もちろん、サリンのように誰かが意図的に極めて高濃度のDioxinsをまいたら危険です。しかし、上に述べたように通常の摂取量であれば、何も問題がない物質です。この本を読んで確かめて下さい。

※「ダイオキシン」渡辺正、林俊郎/日本評論社/2003年

「まぐまぐ(電子書店)」http://www.mag2.comに掲載
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