Compulsory Science No.65




「マリファナの科学The science of Marijuana」
 


   In the past, the use of drug was a small matter in Japan. But, the drug is discussed as the one of problem of juvenile delinquency. I think that we should know the property of drug.

  従来、薬物というと、一般市民には関係のないものとしてとらえられてきました。私が初めて薬物の存在を身近に感じたのは、父がガンで苦しんでいるときに、苦痛をやわらげるものとして使われているときでした。担当医が「麻薬取締法に触れる上限まで使用した。」と話していたことを強烈に覚えています。また、昨年、高校で行われた警察との情報交換の席上でも、近年、高校生が薬物に関連した非行で補導されているということが報告されていました。我々も薬物を避けるだけでなく知ることも必要だと思います。

  マリファナMarijuanaは大麻hemp (Cannobis sativa)から抽出されます。室内栽培では60日間で成熟させることも出来ますが、屋外ですと3-4ヶ月かかるそうです。細かく枝分かれした葉が、槍状のとがった小葉に分岐し、小葉はのこぎりの歯のように切れ込みがあることが特徴です。抽出した成分の精神活性物質9tetrahydrocannabinol(THC)が薬物の有効成分です。

  大麻は、雌株と雄株に分かれていて、THCは、葉と花など植物全体に含まれますが、なぜか種子には含まれないそうです。それで、種子は、古代中国では、穀物として扱われていたそうです。大麻の生育には、肥えた土壌、長い日照時間が必要とされるため、メキシコ、北インド、アフリカ、アフガニスタン、カリフォルニアなどが栽培適地とされています。また、大麻は、木材よりも多くのセルロースを生み出すので、大麻繊維は、ロープとして使われていました。その他には、カンヴァス地にも使われ、船の帆を作るにも利用されたとのことです。世界最初のジーンズもカンヴァスで使われていました。

  大麻の薬物としての利用法として一般的なものは、マリファナ煙草です。この他にも、飲用と食用があるようですが、煙草で摂取するのが一番効果が早く出るそうです。これは、医療用の用法として確かめられたものです。ガンなどの病気の鎮痛剤の役目を果たすことが期待されています。煙の形で肺に吸引された大麻のTHCは、脂肪に溶けやすいため、肺の細胞膜を素早く通過し、血液に溶けます。肺の表面積が広いため、とても効果的です。THCが溶けた血液は心臓から脳へと運ばれ、作用することになります。飲用や食用の場合は、食道、胃、腸を通って、肝臓を経てというようにさまざまな器官を通るため、作用が遅くなりますし、成分が効率よく脳まで届きません。もちろん、静脈注射というのも効果的ですが、注射の場合は、感染の危険性があります。

  吸引後、THCの血中濃度は速やかに上がり、1時間後には、10%まで落ち、その後数時間穏やかに減少していきます。同時に血圧上昇が起こることも知られています。しかし、中毒に関しては、マリファナはタバコより中毒の危険性は少ないのではないかと考える学者もいます。

  大麻は、中国、インドは昔から鎮痛剤として用いられてきました。現在、合法的には認められていませんが、医療現場の報告において、非合法の鎮痛剤として使われている実態が明らかにされています。

 

※「マリファナの科学」Lesli L. Iversen 伊藤肇/築地書館 2003年



「まぐまぐ(電子書店)」http://www.mag2.comに掲載
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