Compulsory Science No.60




「ダイエット diet」
 


 Most of people are interested in diet in developed country. I would like to discuss about the mechanism and method of diet. Key words are carbohydrate, protein, fat and caveman diet.

 先進国に住む多くの人々がダイエットに関心があります。dietの意味は、日常の食物、食事療法、(テレビ番組など)お決まりの となっています。国会という意味もあります。大事だからでしょうか。dietaryは日々の食事の、dietary fiber食物繊維、dieter食事制限をしている人、dietetic栄養学の、dietetics栄養学となっています。日本語でダイエットと言えば食事制限の意味で使いますが、英語では様々な意味があるので、文脈で考えないといけないようです。

 さて、僕が様々あるダイエットのなかで面白いなあと思ったのはcaveman dietです。直訳すると洞窟人ダイエットでしょうか。cavemanとは、石器時代の人を指します。女性でもmanを使います。昔の名残でしょうか。caveman dietは、石器時代のような生活をなるべく送るということです。やり方は簡単で、とにかく歩くこと、そして、早く寝て早く起きることです。この理由は、次の通りです。「人類が計画的に作物を栽培し収穫し、食べ物が安定して供給されるようになったのは、人類の歴史から見ればごく最近のことである。長さから見れば石器時代がとても長く、人類の体は、その石器時代に対応したものとなっている。だから、石器時代のような生活をなるべく送ることが体にとっていい。」

 石器時代は、狩猟生活ですから、当然、獲物を探して歩くことが多かったでしょう。また、日の出とともに活動し、日暮れとともに活動をやめたことでしょう。狩猟生活では、定期的に獲物を捕らえることができるとは限りません。そこで、体に脂肪(fat)を蓄えるようになったと言われています。脂肪のトリアシルグリセロール(triacylglycerol)の貯蔵量は、40日間の絶食に耐えることができるそうです。

 高校の生物で学習するのは、炭水化物(carbohydrate)は、グリコーゲン(glycogen)として肝臓に貯蔵されるということですが、その量は少なく全重量の5-6%、また、骨格筋でも貯蔵されますが、0.4-0.6%とされています。動物が多量に貯蔵できるのは、脂肪だけで、カロリー(calorie)摂取量が消費量を上回ると必ず超過分は脂肪として貯蔵されます。炭水化物を食べ過ぎると、肝臓に貯蔵できなくなり、余った分は脂肪に変換されます。タンパク質は、ちょっと事情が異なっていて、余分に食べたタンパク質は貯蔵されません。

 絶食するとどうなるでしょう。まず、貯蔵されたglycogenが消費され、続いて脂肪が消費されます。あまりに飢餓状態が続くと、大量の脂肪が消費されますが、体内での処理が追いつかず、中間産物であるケトン体(keton body)が生産されます。その結果、場合によっては、ケトーシス(ketosis)という病状を示します。これは、嘔吐、意識不明といった状態です。ですから、無理な絶食、運動不足の人の急激な運動はketosisを起こすそうです。糖尿病患者でも見られるそうです。2-10歳の育ち盛りの子供にも見られることがあるそうです。

 脂肪は、栄養素のうちで最も高いcalorie値を持ちます。脂肪は、9.3 kcal/g、炭水化物、タンパク質は、4.1 kcal/gです。脂肪は軽くて栄養的に効率がいいのですが、燃焼するにもそれだけ大変だということです。ヒトの体が炭水化物で貯蔵していれば、体重を減らすのももっと楽かもしれませんが、そうではないのです。動物は、いつ食べ物を食べることができるかどうか分からないので、軽くて効率のよい脂肪で蓄えるようになったのでしょう。ヒトも例外ではありません。体重を減らすには、長い期間をかけることが大切なようです。

 

※「コーンスタンプ 生化学」田宮信雄・八木達彦訳/東京化学同人/1981

※「生物化学」志村憲助・船津勝ら/朝倉書店/1978

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