Compulsory Science No.58




「クモの糸のミステリー Mystery of spider string」
 


 The spiders secrete various strings that have various functions. The strength and flexibility are noticed in the world recently.

 クモというと嫌いな人もいるかと思いますが、なかなか利用価値があると最近見直されているようです。まず、下の図に示しますように、造網性のクモは何種類もの糸を分泌します。1.枠糸、2.繋留糸、3.縦糸、4.横糸、5.こしき、6.付着盤、7.牽引糸となっています。よく、横糸は粘着性があり、縦糸は粘着性がないことが知られていますが、こんなに種類があるとは思いませんでした。

 なかでも、牽引糸が注目を浴びていますよね。芥川龍之介の「くもの糸」がそうですね。くもの糸は、クモ自身がぶら下がっていることから分かるように、クモの体重を支えています。この切断面を見ると、1本に見える糸が実は2本であることがわかります。また、この牽引糸は、体重の2倍を支えることが出来ることが実験から分かりました。つまり、安全性を考えて、自分の体重の2倍を支えることができるようになっているのです。1本が切れても、もう1本で支えることができるのです。

 カイコの絹糸もこれと同じような構造です。フィブロインタンパク質が2つあり、その周りをセリシンタンパク質が囲んでいます。

 カイコの絹糸とクモの糸を比べると、クモの糸の方が強いそうです。このことからクモの糸を利用して防弾チョッキを作る構想も練られています。

 クモの網は、強さと弾力性を兼ね備えています。間違って、クモの糸が頭についたときになかなか離れない経験をお持ちの方もずいぶんいらっしゃることでしょう。

 そして、クモの糸は、絹糸に比べて紫外線に対して強いこと実験で確かめられました。絹糸は家畜であるカイコが吐き、屋内で繭を作るのに対して、クモの糸は屋外で張られるからでしょう。    


 

※「クモの糸のミステリー」大崎茂芳著/中公新書/2000

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