Compulsory Science No.57




「走性 Taxis」
 


 Taxis is defined that a mechanism of orientation by means of which an animal moves in a direction related to a source of stimulations.

 走性とは、刺激に対して方向性のある行動を行う性質と定義されています。刺激に近づく場合を正の走性、刺激に遠ざかる場合を負の走性としています。走性の種類は、下記のような表にまとめることができます。

種 類刺 激正の走性を示す動物負の走性を示す動物
走光性phototaxisミドリムシ、ガ、魚類プラナリア、ミミズ、ゴキブリ
走化性cheomotaxis化学物質ゾウリムシ(弱酸)、ガ(CO2)ゾウリムシ(食塩水)
走地性geotaxis重力 ミミズゾウリムシ、カタツムリ
走流性rheotaxis水流メダカ、アメンボサケ、マス(成長期)
走電性elctrotaxis電気ミミズ、ヒトデ(陽極に進む)ゾウリムシ(陰極に進む)


 Convenience storeの前の屋根に、青い光を放つ蛍光灯があるのを見たことがありますか。あれは、誘蛾灯の一種でしょう。「飛んで火にいる夏の虫」という言葉があるように蛾(ガ)を代表として火に昆虫が引き寄せられてきます。人間は、紫外線が見えませんが、昆虫は紫外線が見えます。それで、誘蛾灯は紫外線を放射しています。紫外線の中でも長い波長なので、人間には害がないとされています。殺虫剤で虫を駆除するより、誘蛾灯を効果的に使った方が環境に優しいのではないかと主張する人もいます。

 人間がモンシロチョウのオスとメスを見分けようとすると、難しいのですが、モンシロチョウは簡単に見分けることが出来ます。太陽光は、紫外線を含んでいます。紫外線が見えると、モンシロチョウのオスは黒っぽく見えるのです。また、虫媒花(虫により受粉を助けてもらう花)は、ハニーガイド(Honey guide)と呼ばれる印みたいなものがありますが、これも紫外線が見えると黒くはっきりと見えます。昆虫はこれを目指していけば、花の蜜にたどり着くわけです。

 海に近く住んでいる人は、イカ釣り漁船の強烈な光を見たことがあるでしょう。光でイカを集めているのです。イカは軟体動物ですが、正の走性があるのです。これを経験的に人は知っていて利用しています。

 サケが川をさかのぼることもよく知られています。これは、負の走流性というわけです。ミミズの走地性は、地中にもぐっていくことをさしています。

 身の回りを見ると、表以外のものも見つかるかもしれません。

 


 


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