Compulsory Science No.52




「磁石Magnetic」
 


 Magnetic is often used in our daily life. They are credit card, prepaid card, bill, computer, MRI and so on. Of course these usage contains electro magnetic devices.

 磁気の利用は、日常生活の中で広がっています。磁気テ−プ、磁気カ−ド(クレジットカード、さまざまなプリペイドカード)、フロッピイディスクなどです。お札のインクにも磁気が含まれています。磁石について、見ていきましょう。

 ご存知のように、一つの磁石には、必ずN極(North)とS極(South)とがあり、棒磁石を分割してみても必ずN極とS極ができます。これは、磁石は分子の大きさの非常に小さい磁石(分子磁石)の集まりからできていると考えれば説明できます。つきつめていけば、原子一つが磁石なのです。原子の中では電子が運動することにより、電流を作り、その電流が磁場を作っています。

 なかでも、鉄、コバルト、ニッケルなどの物質は磁石によく引き寄せられます。これらは強磁性体(硬質磁性材料)と呼ばれ、磁石の材料となっています。これに対して、アルミニウム、白金、銅などの多くの物質は、磁石に引き寄せられないし、磁石にもなりません。これらの物質構成分子は、それ自身が分子磁石を持っていないか、その向きがバラバラであるためだと考えられています。ちなみに、砂場などで見つかる砂鉄は弱い磁力を持つ磁鉄鉱のかけらです。

 強磁性体の分子磁石のふるまいを調べると、磁区と呼ばれる小さな区域ごとに分子磁石の向きが揃う傾向が見られます。外部から強い磁界を加えると、磁界と同じ向きを向いた磁区の領域が広がり、全体として非常に強い磁石となります。これを磁化といいます。磁界を取り去っても磁区の向きがそのままで残ったものが永久磁石です。

 よく使われる磁石としては、アルニコ磁石、ネオジム磁石、フェライト磁石があります。アルニコ磁石は、鉄、コバルト、ニッケルを主体とした磁石合金です。ネオジム磁石は、希土類元素であるネオジムと鉄、ボロンで作られたもので、最強の磁石といわれています。フェライト磁石は、酸化物セラミック系であり、炭酸バリウムまたはストロンチウムと酸化鉄を混合して焼成し、六方晶フェライトをつくり圧縮成形し、燒結して磁石とします。

 掲示するときなどに使われるフェライト磁石ですと、鉄ぐらいしかひきつけられませんが、強力なネオジム磁石ですと、野菜もひきつけます。これは、先に述べたように、磁性の違いです。強力な磁石ですと野菜に含まれる水分にも反応するのです。  MRI(Magnetic Resonance Imaging磁気共鳴診断)という診断装置があります。これは、人体の断層写真を得ることができます。これは、強い磁場をかけて人体のもつ水素元素の磁場方向を揃え、それにラジオ波を照射し、ラジオ波と水素元素が共鳴して発生する信号を手がかりとして人体の様子を調べるものです。


 

※「世界大百科事典」下中邦彦ら/平凡社 1972年

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