Compulsory Science No.50




「破傷風Tetanus (Clostridium tetani)」
 


 Clostridium tetani is the well-known pathogenic bacteria in the world. It lives in the soil and animal excrement. Though there is little Tetanus in the developed country, there a lot of Tetanus in the developing country.

 破傷風は、日本では、ほとんど見られなくなった病気ですが、途上国では、いまだに多く報告されている病気です。中国、インド、アフリカの多くの国は、新生児破傷風の根絶状況は50%にも満たない状況です。新生児の破傷風は、その国の医療水準を示していると言われます。例えば、カンボジアでは、粗死亡率は、14.3人/1000人で、乳児死亡率は115.7人/1000人です。その結果、平均寿命が男性50歳、女性53歳となっています。

 破傷風菌(Clostridium tetani)は、土中に普通に存在し、動物の糞中でもしばしば発見されるそうです。そのため、以前は、部族間の戦争の際に、弓矢などに動物の糞を塗ったりしたこともあったそうです。

 破傷風は、傷口での感染がよく問題となります。先進国でも傷口の2%に破傷風菌が見られるそうです。破傷風菌は、嫌気性の細菌ですから深部で増殖するようです。一般的な予防措置としては、傷口を消毒することが大切です。それから、破傷風免疫グロブリン、抗生物質などによる早期治療です。予防接種も有効だとされます。

 発展途上国は、一般に衛生状態が悪いので、破傷風の予防接種をすることが勧められています。裸足で歩かない。水浴びをしない。このようなことに気をつける必要があります。抜歯、手術、注射でも感染例がありますから、きちんとした医療施設で治療を受けることが肝要です。

 潜伏期(外傷から発症までの日数)は通常4日〜3週間とされています。潜伏期間が短いほど予後不良とされます。7日以内に発病した場合、50%が死亡するとのことです。10日以上たってから症状が出た場合、死亡することはほとんどないそうです。症状としては、下記のような経過をとるそうです。

* 第1期: 受傷部位の異常感、受傷側の手足の緊張感。
* 第2期: 開口障害、嚥下困難、体幹筋の強直。頻脈、不安感。
* 第3期: 全身性痙攣(5〜30分間隔で、5〜10秒持続)、いわゆる弓そり反張。
* 第4期: 回復期。痙攣は消失するが、筋硬直が残る。

 



 

※「生物学辞典」八杉龍一ら/岩波書店 1996年

※「世界大百科事典」下中邦彦ら/平凡社 1972年
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