Compulsory Science No.48




「Prion(Proteinaceous infectious particle)」
 


 Most of people are interested in mad cow disease in the world. This pathogen is Prion and Prion is also the pathogen in CJD(Creutzfeld-Jakob disease) in human. Prion is new type pathogen, it does not act in the Central Dogma. The therapy is unknown.

 狂牛病(Mad cow diseas, BSE:Bovine Spongiform Encepahlaopathy)が世界中を震撼させています。狂牛病は、遅延性、致死性の病気です。この病原体プリオンは、人のCJD(Creutzfeld-Jakob disease) クロイツフェルト・ヤコブ病の原因でもあります。羊のスクレイピー(Scrapie)病も有名です。さらには、下記の病気の原因もプリオンだとされています。

ヒト・・・・クール(Kuru)
      致死性家族性不眠症(FFI:Fatal Familial Insomnia)
      ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカ病 (Gerstmann-Straussler-Scheinker disease)
ミンク・・・伝染性ミンク脳症
鹿・エルク・・・慢性消耗症(Chronic wasting disease)

 このことから、人獣共通感染症とも呼ばれます。
 このプリオンは、高圧蒸気滅菌、紫外線照射、フォルマリン処理などに極めて高い抵抗性を示します。発病した動物では抗体が見つからず、そのために普通の微生物のような血清反応による病原体の検出もできません。
 1982年にS.B.Prusinerがこの病原体は、DNAでもRNAでもなくタンパク質が感染因子であるとして、プリオン(Prion:Proteinaceous infectious particle)と名づけました。セントラルドグマ(Central dogma: DNA→RNA→Protein)に従わないこのプリオンについては、未だに反対の意見があります。しかし、次々と証拠が提出され、S.B.Prusiner は、1997年度のノーベル医学・生理学賞を受賞しています。
 プリオンは、ヒトでは第20番染色体に存在するプリオン遺伝子によって作られる糖タンパク質です。哺乳類から酵母まで見られる普通のタンパク質です。運動を支配する神経細胞の維持や睡眠調節に関係していると言われていますが、まだよくわかっていないタンパク質です。
 この正常プリオンが異常プリオンに変わったり、正常プリオンが外から侵入した異常プリオンと接すると、正常プリオンが異常プリオンに変わり、それがまた正常プリオンを変えるというようにどんどん増えていくそうです。異常プリオンは、タンパク分解酵素で壊れにくい性質があって、神経細胞に蓄積し、その結果、神経細胞に空砲ができ、海綿状に見えるそうです。
 タンパク分解酵素で壊れにくい性質を利用して診断方法が開発されつつあるそうですが、治療法は、ほとんど開発されていないのが現状です。現在のところ、異常プリオンに触れないことが予防法のようです。ヒトでの病気クールーは、ニューギニアの原住民の間での人食い儀式が原因で広がったそうですが、それがなくなった後は、発病者は減少したとのことです。
 診断法、治療法が確立していない現在、ますます食べ物に気を使うことになりそうです。
 手元の生物学辞典にもまだ記載されていませんでした。

 



 


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