コムパルソリイ・サイエンスNo.46




「PCR(Polymerase Chain Reaction)」
 


 PCR is considered one of the most revolutionary DNA technologies. This method is applied to the various situations. Kerry Mullis who invented it received a Nobel Prize in 1993.

 PCRって耳慣れない言葉かもしれません。Kerry Mullisが1986年に発表し、1993年にノーベル化学賞を受賞した画期的なDNA増幅法です。この方法は、映画ジュラシックパーク(Jurassic Park)でも紹介されていました。

 朝日新聞のデータベースを調べると、1990年には、「遺伝子コピーを簡単・大量に ノーベル賞級新技術のPCR法」として紹介されています。1991年には、Kerry Mullisの紹介がされています。その後、PCRを利用したものとして、
「1995年03月20日 恐竜の卵からDNAを抽出 北京大グループ」
「1996年01月12日 ニホンオオカミ、野犬に血筋残した? 京大霊長研で研究」
「1999年09月28日 DNA型鑑定どう判断 福岡・飯塚の2女児殺害、あす判決」
といったようなものが記事となっています。1989年から現在まで関連の記事は約100件あります。犯罪や親子鑑定などに適用されているようです。

 PCRは温度を94℃、55℃、72℃と変化させることで、2本鎖であるDNAを1本鎖にし、目的のDNAの断片を付着させ、それを出発点として伸ばすということを行うのです。これを、2、30回くり返すことで爆発的にDNAを増幅する技術です。試薬が整えば、恒温器を3台用意して、順番に移すことを手作業で行うこともできます。それぞれの温度は、30秒から1分です。いまは、専用の機械がありますから、試薬を調整して、セットするだけで、1時間30分くらいで行うことができます。はじめと終わりの温度は、どのような生物でも同じですが、まん中の温度は、生物によって、微妙に変化させなければなりません。DNAが増幅したかどうか、目的のDNAかどうかということを調べるには、電気泳動を行います。寒天からなるゲルの中を電流を流してDNAを移動させるのです。染色すると、その濃さからDNAの濃度が分かります。また、制限酵素で切ると、DNAにより切れる箇所が異なりますから、目的のDNAが増えたかどうかを判定することができます。試薬の調整では、μl単位を行う必要がありますから細心の注意が必要です。



 



 
※Stephen Garrison/ Claude depamphilis "Polymerase Chain Reaction for Educational Settings" The American Biology Teacher 56(8) 476-481, 1994

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