コムパルソリイ・サイエンスNo.43




「手続き的知識(Procedural knowledge)」
 


 The knowledge is made up of Declarative knowledge and Procedural knowledge. It is difficult to explain Procedural knowledge by using the characters.

 知識(Knowledge)という言葉はよく使いますが、知識は大きく2つに分けることができます。宣言的知識(Declarative knowledge)と手続き的知識(Procedural knowledge)です。

 通常、知識と言っているのは、宣言的知識のことです。これは、文字を使って説明できることができるもので、「植物は葉緑体を持ち、光合成を行う。」とか「動物は、生態系の中では消費者として位置づけられる。」というように言葉で説明することができ、説明された方も理解して納得すれば、すぐに他の人に説明することができます。命題とか概念とか言われます。

 これに対して、手続き的知識は、文章で説明することはできますが、その説明を聞いてもすぐに実行できない知識です。例としてよく挙げられるのは、車の運転です。車の運転の方法は、教習所の教本に書いてあるので、それを読めばやり方は分かるのですが、ではすぐ運転できるかと言えば、そうではありません。何度も練習して体で覚えないとできないものです。そして、一度覚えると考えなくても体が自然に動いていきます。掛け算の九九も例として挙げられます。始めは意味を考えて覚えますが、一度覚えて使うようになると、あまり意識せずに計算に使っています。

 例から分かるように手続き的知識は、方法の知識とも言われます。これはふだん余り意識されていないと思いますが、これで苦労することは多いですよね。体育、音楽、美術、などは、この手続き的知識のかたまりのようなものです。理科でもピペット操作とか顕微鏡標本つくりなどがあります。体を使うことは小脳が関与しています。言語はもちろん大脳です。部位が違うので難しいのかもしれません。

 僕は、カーブを一度投げてみたいと思っています。野球の本を見て、野球のビデオを見てもとてもできるものではありません。人に聞くと、肘の使い方だと言われますが、体がそのように動きません。でも、なぜかシュートは、野球のビデオを見て、投げることができました。

 手続き的知識をうまく人に伝えることができる人が指導者として優れているのかもしれません。




 
※市川伸一・伊東祐司編著「認知心理学を知る」ブレーン出版/1987年

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