コムパルソリイ・サイエンスNo.38




「発電機(Dynamo, Generator)」
 


 日本では、電気は空気のような存在で、常に安定供給されていますが、世界を見渡すとそうでない場合が多いようです。数年前、東南アジアを旅行したときに、ホテルで停電がありました。日本人は、ずいぶん慌てましたが、ホテルマンは落ち着いて対処していました。慣れているからなのでしょう。

 実用化されている発電機は、ガソリンやディーゼルで動くものが多いようです。短時間ならば、停電したときにすぐに代用として使うことができるようです。しかし、これは、火力発電と同じであり、空気を汚しますし、資源も使います。まだ、家庭用の電源として使えるほどのパワーはありませんが、環境にやさしい発電機を見ていきましょう。

 まず、だれもが使っている発電機と言えば、自転車の発電機です。これは、コイルが固定されていて、磁石が回るタイプの発電機です。走っている限りは回転してランプを灯してくれます。うまく接続すればテレビを見ることもできるそうです。しかし、発電効率が1.5%ととても悪いため、長い時間使うことは無理なようです。

 次は、災害時に役立つと話題を呼んだ手回し発電機ラジオがあります。ソニーとアイワが発売しています。1分回せば30分聞くことができるというものです。もう一つは、以前紹介したコンデンサーラジオ、これは、30秒回せば1時間30分聞くことができるというものですが、限定販売です。

 グリップを握れば明かりがつくというライトもあります。これも自分で発電しているのです。
 携帯電話の充電用で、手で握ったり足で踏んだりして充電するものもあります。
 教材用では、かなり前から手回し発電機が売られています。6Vの直流電圧を発電します。

 ちょっと実用的なものになると、風力発電と太陽光発電があります。しかし、いずれも10万円前後のものでないと家庭用の電源としては、物足らないので、設置するには、やや勇気がいるでしょう。
 発電機の原理は、モーターを何らかの力で回して、それをコンデンサーなりバッテリーに貯めることなのですが、その効率が問題になるのです。いかにロスをなくすか、値段を押さえるかが難しいのです。
 一度は、自分で発電して見ることがエネルギーを実感することになるのではないでしょうか。


 
※「中学校理科1分野下」戸田盛和ら/大日本図書/1996年

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