コムパルソリイ・サイエンスNo.37




「石鹸(Soap)と合成洗剤(Synthetic detergent)」
 


 今、朝日新聞で、石鹸と合成洗剤の比較の記事が連載されています。それをまとめると以下のようなことになります。

○石鹸
・生物に対する毒性が低い。
・分解性が高い。
・有機物が多く含まれ、環境への影響が心配される。
・水質によっては、石鹸かすが多く出る。
・1回の使用量が合成洗剤に比べて多い。

○合成洗剤
・生物に対する毒性が心配される。
・分解性が低いものがある。
・使用量が少なくてすむ。
・ほとんどの製品に含まれている蛍光増白剤の分解性が低い。

 従来の消費者運動では、石鹸を使用することが進められてきましたが、最近では、石鹸に対する見直しが進み、合成洗剤を含んだ複合石鹸も作られ、使用されているとのことです。逆に、合成洗剤の中にも石鹸が含まれているとのことです。
 それぞれの組成を見ていきましょう。石鹸は、油脂を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液中で加熱するとできます。「けん化(Saponification)」と言われる反応です。石鹸のことを高級脂肪酸の塩とも言います。一般には、ナトリウム塩のものが多く使われていますので、化学式は、CnHn−COONaとなります。
 合成洗剤は、石鹸のCOONa(カルボン酸イオン)の代わりになるものを合成して作ったものです。よく使われるものにCnHn−O−SONa+(硫酸ドデシルナトリウム)があります。
 石鹸も合成洗剤も水になじみやすい(親水性)部分と水になじみにくい部分(疎水性)から構成されています。疎水性の部分が汚れの部分(油分など)と結びついて親水性の部分がそれを取り囲んで、水に溶ける状態となります。先ほどの化学式では、親水性の部分がカルボン酸イオンで、疎水性の部分がCnHnの部分です。
 最近では、洗剤を使わずに、汚れを取ってしまうスポンジなども開発されています。まだまだ開発していかなければなりません。


 
※「化学TB」白石振作ら/大日本図書1993年

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