コムパルソリイ・サイエンスNo.36




「レーザー(Laser)」
 


 Onsen(Online Natural Science Education Network)(http://www.nep.chubu.ac.jp/onsen/) で取りあげられていますが、身の回りに危険なレーザーポインタがあるそうです。

 平成12年12月4日(月)19:30のNHK総合TV「クローズアップ現代」で以下のことが放送されていたそうです。
「小学生がレーザー光により「網膜熱傷」・・・網膜の一部が死んでしまう。その部分の視力が永久に失われる。網膜細胞は再生することがない。目の水晶体を通ったレーザー光は網膜上に焦点を結び,なんと太陽直視の100倍の明るさに達することがある。一瞬で網膜細胞を焼き尽くす。 24才の高校教師が片目の視力がほとんどなくなる。遠近感が無くなり,日常生活にも支障をきたす。矯正視力1.2が0.01に。黄斑という部分がやられた。どちらも友達・生徒がふざけてレーザーポインターの光を目に当てたのが原因。やった方もやられた方も危険性を全く認識してなかった。これらの事故報告は国民生活センターに合わせて15件あったが,実際の件数のごく一部だと考えられる。」

 レーザーは、基本的に以下のようなクラスに分けられているそうです。
「クラス1」
 本質的に安全。特別な安全対策不要。100s間その光を瞬きなしに見続けても、網膜に損傷なし。パッケージングにより光の漏洩を押さえた、レーザプリンタやCDもこの部類に入る事となる。最悪、双眼鏡の様な補助光学系を用いても安全。レーザ径に関係なく、He-Neで10μW程度。
「クラス2」
 安全。可視光に対して定められているクラス。瞬きの時間0.25sに対して網膜が損傷しない安全が確保されている。最悪、双眼鏡の様な補助光学系を用いても安全。レーザ径に関係なく、レーザポインタ、He-Neで1mW以下。3W以下の単パルス(パルス幅10-7s)可視レーザ。
「クラス3A」
 少し危険。光学系を用いたビーム内の観察は危険。可視光に対してクラス2の五倍の出力。ただし、補助光学系を用いないで直接見たときのみの安全性を規定しているので、単位面積あたりのパワーは、クラス2と同程度(直径7mmのレーザ径の場合1mW)でなければならない。CWで5mW以下、短パルス10W以下の可視レーザ。
「クラス3B」
 かなり危険。直接のビーム内観察は危険。拡散反射光で最小観察距離である13cm以上、最大観察時間10s以内であれば安全。CWで0.5W以下の可視レーザ。
「クラス4」
 とても危険。クラス3以上の高出力レーザ。拡散反射光でさえ危険。皮膚やけど、火災の危険を生じる。多くの実験用、工業用レーザがこの部類に入る。0.5Wを超える。

 そして、レーザ製造業者は、クラス2以上の製品に警告・説明ラベルを貼らねばならない、とされているそうです。

 私の手元にあるレーザーポインタを見ると、「可視光半導体レーザー、波長670nm、出力1mW未満、クラス2」となっています。これは、安全なレーザーポインタです。事故を起こしているのは、外国製の安価なレーザーポインタだということです。注意書きの「クラス」と出力を見て、注意して扱うことが必要です。

 身近なレーザーとしては、「クラス1」のところで説明にあったように、CDの読み込みなどに使われています。これは、身近ですが、直接見ることはありません。他には、外科手術などでもレーザーメスが使われているそうです。このお世話になることがあるかもしれませんが、これも直接見ることはないでしょう。

 さて、レーザーとは、どういうものでしょうか。Laser レーザーは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(放射の誘導放出による光の増幅)の頭文字をとった略語です。レーザーポインタやCDの読み込みに使われるのは、半導体レーザーです。半導体に電流を流して、電子を励起状態にして、そこに光を当てて、それを平行に置かれた鏡の間を光子が往復して反射し、放出されるものです。レーザーの最初は、ルビーを用いて作られたそうです。1960年のことです。始めは、693nmと赤色だけだったのが、今では、X線の振動範囲までいけるそうです。科学の進歩は、速いですね。




 
※http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2574/lasertop.html

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