コムパルソリイ・サイエンスNo.31




「太陽と人間の活動」
 


 太陽は、地球上の全ての活動の源だと言われますが、どのくらいのエネルギーが地球上に届いていると思いますか。
1.4×103J/m2・s  これは、太陽光線に垂直な1m2あたり、1秒間に1.4×103Jの熱量をうけているということです。これを換算して、2Cal/cm2・m(1cm2あたり、1分間に2Cal。太陽定数(solar constant)とも言われます。)が使われる場合もあります。一日8時間の太陽が照射されたとすると、その合計のエネルギーは、
 1.4×103×8×60×60=40320×103=4×107


 ここで、家庭で使われる電気器具を考えてみましょう。40W(ワット)の蛍光灯があるとします。これを8時間使用したとすると、電力量は、下記のようになります。
 電力量=電力(W)×時間(second)=40×8×60×60=1152000=1.15×106
 太陽の熱量をそのまま使うことができるとすれば、40Wの蛍光灯は、(4×107)÷(1.15×106)=35台使うことができることになります。

 人間そのものに対してはどうでしょう。人間1人が受ける面積を30cm×160cm=4800cm2として考えます。8時間太陽のもとで活動したとすると、
 2×4800×8×60=4608000=4.6×106Cal
の熱量を受けることになります。1Calは、1gの水を1℃上昇させるのに必要な熱量ですから、体重60kg=60000gと考えると、 (4.6×106)÷(6×104)=76.8℃
 体温が76.8℃も上昇することになり、死んでしまいます。この体温の上昇を防いでいるのが、気化熱です。気化熱(heat of evaporation)とは、蒸発するときに熱を吸収するものです。25℃の水1gが蒸発するときの気化熱は、582.8Calです。汗をlリットルかいたとすると、その気化熱は、
 583×1000=5.8×106Cal
となります。これは、太陽から受ける熱とほぼ同じです。だから、体温が上昇しなくて済むことになります。汗をかくことは大事なのです。

 この気化熱は、冷蔵庫やクーラーで働いていますが、学校で教えられることは少なくなっているようです。




 
※「地学」小尾信爾ら/大日本図書1990年

※「理科年表」国立天文台編/丸善1990年


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