コムパルソリイ・サイエンスNo.19




「カロリー計算」  
 夏になって、水着になる機会があると、ダイエットを考える人も出てくるでしょう。この時に、カロリー計算を考えるでしょう。本を調べれば、どの運動がどのくらいのカロリーを消費するか載っていますが、自分で計算をしてみましょう。

 日常の運動は、物理では、仕事として定義できます。仮に体重50kgの人が1階から2階に上がったとしましょう。この時のカロリーを計算します。仕事は、次の式で計算することができます。
 仕事=力×距離
 体重50kgの人を上に上げるには、50×9.8=490N(Newton)の力が必要です。2階から3階までの距離が3.6mならば、仕事は次のようになります。
 490×3.6=1764J(Joule)
 1J=0.24cal(caloryカロリー)なので、
 1764×0.24=423カロリー
となります。

 一方、人は、運動しなくても、じっと寝ているだけでもカロリーを消費します。基礎代謝と言われるものです。これを考えてみましょう。1カロリー(cal=calory)とは、1gの水を1℃上昇させるに必要な熱量のことです。われわれ人間の体には、多くの水分を含んでいます。体重50kgの人の80%が水分だとすると、50×0.8=40kgが水分になります。気温が20℃の場合、体温を37℃にまで上げるには、
 40000×(37-20)=680000カロリー(cal)
必要です。680kcalですね。一般に成人の一日の基礎代謝は、1200kcal〜1500kcalだと言われています。水は、比熱が大きいので、一度温度を上げれば、簡単に下がらないので、これぐらいで済むのでしょうね。この計算からすると、体重が重い人ほど、寒いときほど、カロリーが必要なことが分かります。
 基礎代謝に比べて、運動で消費するカロリーは、それほど多くないことが分かります。何しろ、階段を上っても、0.423kcalなんですからね。上で計算した680kcalを消費するには、階段を上る運動を約1600回繰り返さないといけないことになります。大変ですね。

 はじめの式を使って、日頃自分が行っている運動のカロリーを計算して欲しいのですが、気をつけないといけないのは、この式が成り立つのは、力の向きと移動する向きが同じ場合に成り立つということです。向きが違う場合には、三角関数を使って力を分解しなければなりません。
 



 
※「物理TB」西川哲治ら/大日本図書19980年

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