コムパルソリイ・サイエンスNo.13




「男性脳と女性脳」  
 男性と女性の違いって何でしょう。男性性は筋肉質で、平均すれば、女性より身長が高く、体重も重い。声が低く、体毛が濃い。女性は、脂肪が多くふっくらとした体つきで、子供を産むことができる。生理がある。学校で勉強するのは、こんなところでしょうか。最近の研究は、男性と女性の脳の違いを明らかにしたようです。

 女性の人のおしゃべり、電話の長さに閉口した経験を男性なら誰でも持っているでしょう。これは、女性と男性の言語能力の違いにあったのです。女性は、1日に平均6000から8000語の単語を話し、顔の表情などのボディランゲージを8000から1万回ほど出していて、全部合わせると1日平均2万回もコミュニケーションとして「言語」を発しています。それに対して、男性のコミュニケーション活動は、1日平均7000回、女性の約3分の1です。言い換えると、それだけの言語活動をしないと満足しないことになります。だから、女性は男性の3倍話してやっと満足するのです。

 極端に言えば、話す内容が目的ではなく、話すこと自体が目的なのです。男性の言語活動は、少ないので、必然的に必要なことしか話しません。それで、一日分の言語活動は充分なのです。だから、男性が女性に合わせようとすれば、女性に充分話をさせ、それを聞いてあげなくてはいけません。彼女は、とにかく話したいのであす。それが脈絡があろうとなかろうと、論理的であろうとなかろうと関係なく、ひたすら話す機会を与えてあげて、聞いてあげること、これが彼女を満足させる方法なのです。逆に、女性が男性に合わせようとすると、男性の沈黙を見守ってあげなくてはいけません。「ロダンの考える人」あれは、まさしく男の象徴なのです。黙っている間に様々な考えを巡らしているのです。特に、仕事の終わりは静かに過ごしたいのです。そこで、あれこれと話しかけると、彼は機嫌が悪くなるのです。

 これは、脳の違いによるものなのです。男性が話すときは、左脳を使っています。女性は、左脳の前部と右脳の一部の領域を使っています。だから、言語障害が問題になるのは、男性の場合がはるかに多いのです。

 それでは、男性の得意分野は何でしょう。それは、空間知覚能力だと言われています。地図を見て3次元的に捉える能力、遠くの目標物を見定めて当てたりする能力です。車の運転や飛行機の操縦も男性に向いているとされるのです。この違いは目にあります。男性の眼球は女性より大きく、長距離を見通す「トンネル視」ができるようになっています。

 男性の好むスポーツやゲームは空間知覚に関するものが多いのです。それに対し、女性は周辺視野が広く、近距離を見るのに適しています。だから、女性の方が細かいことに気がつきやすいのです。また、白眼の部分が男性より多く、顔の表情を豊かに表すことができます。耳にも違いがあります。女性は、音の違いを聞き分ける能力に優れていて、男性は、音の方角を聞き定めるのに優れていると言うのです。音痴は圧倒的に男性が多いそうです。しかし、野球選手は、打球音を聞くだけで、球の方角を知ることができます。

 楽しく人生を送るには、仕事上でも家庭でも男女が協力をしなければなりません。お互いの特性を知ることは重要なことだと思います。

 

 


 
※「話を聞かない男、地図が読めない女」アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ/主婦の友社2000




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