コムパルソリイ・サイエンスNo.4




「触ってはいけない生物」  
 春になり、暖かくなると、花も咲き出して、部屋の中でじっとしているのが厭になってきます。なんかうきうきして外に出たくなります。近年、中高年の間の趣味として、ハイキングや山登りが増えているようです。そんなに遠くまで行かなくても、公園でのんびりと過ごすのも気持ちがいいものです。しかし、ご用心。見の回りの街路樹にも触ってはいけない植物がありますし、動物もいます。




続き  

「キョウチクトウ」  常緑で樹高2〜3mです。夏にピンクや白の花をつけます。街路樹として植えられたり、道路の分離帯でもよく見かけます。葉が厚く細長いのが特徴です。広島、長崎に原爆が落ちたすぐあとに、咲いていたことでも有名な植物です。事故としては、生枝に肉をさしあぶって食べた11人中7人が死亡、4人が重体の例が報告されています。有毒部位は、葉、樹皮、根、種子です。症状としては、嘔吐、腹痛、下痢、血便、冷や汗、心臓麻痺などがあります。

「ユズリハ」
 常緑の高木です。樹高は、6〜15mです。古い葉が新しい葉と入れ替わるので縁起がよいとされ、正月の飾りとして使われています。有毒部位は、葉、樹皮です。症状は、心臓麻痺、呼吸困難です。事故の例は少ないようですが、正月の飾りとして使うだけに気をつけなくてはいけません。もし、事故にあった場合は、胃洗浄、強心剤の注射などの治療が必要なので、早く医師に見せなければなりません。

「イラクサ」
 草本です。高さは、50cm〜1m、葉の形は卵形で切れこみがあります。全体に刺があるのが特徴です。一見したところ、シソにも似ています。刺に毒成分があるのです。イラクサは、刺草と書きます。刺が刺さると痛みがいつまでも消えず、ひどい場合はただれます。事故としては、山道を歩いて、知らず知らずのうちに刺が刺さったという例が多いようです。山道を歩く時に、長袖、長ズボンで歩けば、防ぐことが出来ます。山道でなくても見かけることがありますので、幼い子供が触らないように注意してあげなくてはなりません。

「ニホンヒキガエル」
 カエルの中でも大きな部類に入ります。体長は、約15cmにもなります。色は褐色で、体の側面に線があるのが特徴です。そして、体全体にいぼがあります。ヒキガエルの毒は、耳のあたりや体全体の皮膚腺にあります。ですから、体を触ったときに、毒が手についていると思っていいでしょう。目や口に毒が入ると、目がしみたり、口から泡をふくことがあります。触ったら必ず手をよく洗いましょう。 身近にいるアマガエルも同じような毒を持っています。



 
※「野外における危険な生物」日本自然保護協会編/思索社1982




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