コムパルソリイ・サイエンスNo.3




「朝酒は体に毒、お酒は夜に呑むべし!」  
 朝酒、朝風呂が大好きで家をつぶしたのは、小原庄助さんだったでしょうか。朝酒は体に良くありません。昼に飲む酒も酔いが速く回ると言われますが、これは、その通りです。1日の時間帯により、ヒトの体がアルコールを分解する能力が異なってくるのです。肝臓は、朝よりも夕方にアルコールの血中濃度を低く保つことが出きるのです。だいたい午後3時くらいから午後10時までが低い濃度になっています。午後10時を過ぎると急速に血中濃度が高くなり午前6時前後が最大となります。これは、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水酵素の量と関係していると思われます。これらの酵素を生産する能力が1日の時間帯によって異なるというわけです。お酒が好きな方は、夜10時を過ぎる頃から調子が乗ってくるのですが、体にはよくないのです。終電に間に合うようにお酒を呑むのを切り上げることが体にとってもよいということになります。




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 このように、我々が知っておいた方がよいと思われる体内のリズムはまだ他にもあります。例えば、冷刺激に対する歯痛の程度も1日の時間帯により異なります。午後1時ごろが一番痛みが少ないのです。だから、歯医者には、午前より午後に行く方が少しは痛みを避けることが出きるのです。この他には、麻酔薬の一種である塩酸メビカインやリドカインに対する人体の反応時間も1日の時間帯により異なります。やはり、午後1時前後が、麻酔がよく効くのです。午前と午後に同じ量を投与されてもその効果が異なるのです。麻酔が効いている時間が、2〜3倍も違うのです。



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 日常的に測定する体温も時間帯により異なっています。日中が高く、日が沈んでからは低いのです。だから、昼の37℃は、それほど心配しなくていいのですが、夜中の12時の37℃は心配しなくてはいけません。もちろん、普段から自分の平熱を知っておくことは大切で、その際に、測った時刻も共に記録しておくことは重要です。
 我々人類は、現在時刻に関係なく仕事をするようになりました。しかし、体内時計までは変えることが出来ないのです。人間が本来持っている1日の時間のサイクルは25時間です。それを朝起きる時にリセットして活動しています。朝起きるのが辛いのは当たり前なのです。こういうことを知っていると生活が少し楽になりませんか。
 しかし、これとは別で、お酒のことは知っておくべきことです。





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