コムパルソリイ・サイエンスNo.1




「命を守る換気扇」  
 新聞で、若い女性が3人亡くなっているのが報じられました。マンションの浴室です。新聞は、凶悪事件ではないかと報道しましたが、のちに、一酸化炭素中毒であることが判明しました。浴室の火が不完全燃焼していたのです。アパ−トの一室で若い男女が亡くなっていました。警察官がかけつけると、ガスコンロに空のバケツがかけられていて、火がついたままでした。これも、原因は一酸化炭素中毒でした。


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 一酸化炭素中毒は、不完全燃焼の際に生じます。不完全燃焼というと、特殊な場合を考えますが、実は、物が燃えている時は、まず、不完全燃焼を起こしていると思って間違いありません。物が燃えるためには絶えず酸素が供給されなければなりません。通常、燃焼を起こしている周りの酸素が使われますが、不足するのです。完全燃焼とは、理想状態の話です。ですから、物を燃やす時には、必ず、酸素を供給してあげなければなりません。地上で物が燃える時には、対流が生じ、回りから酸素が供給されます。例えば、ろうそくを宇宙船内で燃やすと、数秒で消えてしまいます。宇宙では重さがほとんどないので、熱による対流が起きず、周りから酸素が供給されなくなるからです。


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 そして、一酸化炭素中毒の怖いところは、自分が気づいたときにはもう遅いということです。気分が悪いという自覚症状があらわれたときは、手遅れで、体が動かなくなってしまい、逃げ出すことができなくなっている場合が多いのです。一酸化炭素中毒で亡くなった方は、あと1歩というところで力尽きている方がしばしばいらっしゃるそうです。
だから、室内で火を使うときは、こまめに換気扇を回しましょう。換気扇が命を守ってくれるのです。もしくは、検知器をつけましょう。こんなところに電気代を節約したりしてはいけません。ヒトにとって見えないことくらい怖いことはありません。ヒトは、視覚動物だと言われます。とても視覚の能力が優れているのです。それだけに、視覚に頼って生活しています。だから、目に見えない危険に関して、鈍くなっている側面があるのです。





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