子ども版「障害者権利条約」

子どもにやさしい国連・障害者条約の話

草案 2007年9月13日
(仮訳版)
               
ユニセフ(UNICEF)
ビクター・ピネダ基金(The Victor Pineda Foundation)

仮訳にあたって

この翻訳は、ユニセフから出された子ども版障害者権利条約の草案の翻訳です。ユニセフでは、2007年11月9日まで意見募集が行われました。
この翻訳は、日本の子どもたちや障害のある人たちが障害者権利条約を理解していく活動が広まればと願って作成したものです。障害者権利条約の内容を広めるためにみなさんの知恵をお借りして、ユニセフの子ども版権利条約の翻訳としてもっと充実したものとするためのたたき台となればと思っています。また、日本版「子どものための障害者権利条約読本」がつくられる、一助となればと願っています。

 玉村公二彦(奈良教育大学)

内容

 はじめに
 この本について
 条約について
 君の権利は?
 君たちの生活の中でどのように権利は実現されるのでしょう
 君たちが将来勉強することになる言葉

はじめに

この本は、障害のある子とない子に、「障害者権利条約」を理解してもらう助けとなるようにつくられたものです。

※条約とは? 条約とは、国と国との間の約束です。国が、条約にサインして、批准することになれば、法律としての約束となり、政府をみちびくものとなるものです。

 障害の条約は、障害のある子どもと大人が公平にとりあつかわれ、生活のすべての面で平等に参加できることを明らかにするための約束ごとです。障害の条約にある権利は新しいものではありません。この権利は、すべての子どもと大人のための人権です。障害の条約は、このような権利が障害のある人にも尊重されるように保障することを求めています。

※障害とは? 人が、見たり、勉強したり、歩いたり、働いたり、その他の活動をするときに難しさがあるとき、障害をもつといいます。障害の中には、目に見えないものもあります。建物や、規則、その人への対応をかえることが、障害のある子どもが遊んだり、学校に来ることができるために必要なことがあります。

 学校に、オーディオブック、手話通訳の人、スロープがあるところは、障害のある子どもが勉強を進めるための平等の機会があり、公平に扱おうとしている学校です。私たちはみんな、学校に行く機会をもっています。この条約はそれをできるようにするものです。

この本について

 この本は、障害者権利条約の子ども版です。

 世界中のたくさんの国々から集まった人たちがこの条約をつくるために作業をしました。その人たちは、障害のある人が、地域で学校に行き、職業につき、幸せに生活できるようにするとてもいい活動や法律を見つめてきました。

 次のところで、きみたちの権利とそれがきみたちの生活にどんな意味を持っているのかを学ぶことになります。人々が、他の人の権利を尊重するときに、もっと公平で平和な世界をつくることに貢献していきます。

※権利とは? 「権利」とは、すべての子どもが持っており、行動するようにできるようにするものです。すべての子どもは、同じ権利をもっています。障害のある子も同じです。この権利はすべて同じく大切なものです。

 この条約は、障害のある子どもと大人の権利を示し、実際にそれをどのように実現するかというルールを示しています。この条約に賛成するすべての国が、このルールに従うことになります。

 この文章の終わりには、いろんな言葉とその意味を示しています。それは、君たちが知らないかもしれない言葉をわかるように援助するものです。

条約について

 障害者権利条約は、すべての人が平等の「権利」をもつこと、すべての人たちがそれぞれの人の権利を尊重しなければならないことを示しています。この条約は、国の法律とルールが、障害のある子どもも含めて、障害のある人の権利を十分に守るように援助するものです。

 この条約は、君の権利をどのように実現するかについて、政府と君の家族へのガイドとなっています。これらの権利は、すべて重要であり、いつでも尊重される必要があるものです。

 私たちは、君たちの目標を実現しようとする時、平等の機会を持つことが必要です。だから、その権利を考える必要があります。君たちの成長にともなって、君たちが自分で選んで、権利を実行する責任をもっともつことになるのです。

 この障害のある人のための条約で保障された権利は、世界人権宣言と子どもの権利条約で認められた人権と同じものです。この権利は、子どもたちが、安全で、健康な中で、成長し、発達し、学習するのに必要とされるものを明らかすること、そして、地域の一員として十分な可能性を達成することを意図しています。

君の権利は?

第1条
 障害のある子どもは、すべての子どもに保障されたものと同じ平等の権利をもっています。子どもたちが、見たり、勉強したり、歩いたり、聞いたりするときに難しさをもっている時、他の子どもが感じないようなバリアがあることになります。障害のある子どもの平等の権利は、尊重されないといけませんし、尊厳を持って公平に取り扱われないといけません。

第2条
 この条約の中で使われる言葉の意味

 ・「コミュニケーション」は、読んだり、聞いたり、話したり、理解するときにバリアをのり越える方法を示します。それは、私たちに本や資料を読んでくれる人や、点字、手話、拡大した文字、その他の援助の方法を通してなされるものです。

 ・「言語」には、話されたり、サインで示されたり、そのほかの話しことば以外のものもあります。

 ・「障害にもとづく差別」は、障害があることで公平にとりあつかわれない時に、起こるものです。障害のある子どもが、平等の権利を享受することから妨げられてはなりません。

 ・「合理的配慮」は、障害のある人が参加できるように、何かをかえる必要がある時に、そのとりくみが理由のあるものなら、それをしなければならないということを意味します。

 ・「ユニバーサル・デザイン」は、できるかぎりすべての人が利用できるように計画されたものを意味します。

第3条
 君たちは、次のような権利があります:

 ・尊厳
 ・差別なく、公平であること
 ・いろいろな活動に参加し、活動の中に含まれること
 ・障害のあるなしにかかわらず、あるがままに受け入れられること
 ・君の夢を実現するために平等の機会があること
 ・みんなの場にはいっていけて、じゃまされたり、拒否されたりすることがないというアクセシビリティがあること
 ・男子であるか女子であるかにかかわらず、平等の可能性をもつこと
 ・君の能力が尊重され、自分自身でいられるということ

第4条
 障害のある子どもに対して差別となるような法律をなくします。障害のある子どもは、自分自身に関係することを決めるときにその中に入らないといけません。

第5,6条
 法律は、すべての人が平等といっています。この中には、とりわけ障害のある女性と女子も含まれています。

第7条
 障害のある子もない子も、意見を持ち、自分のことを表すことができます。わたしたちは、すべての子どもたちに保障された十分な自由を享受することができます!

第8条
 障害のある子にレッテルをはったり、公平にとりあつかわないことは悪いことです。障害のある子どもたちは、すてきなことをする力を持っています。そのことを、すべての人たちにわかってもらう必要があります。

第9条
 大きくなったとき、自立して生活することができ、そして、学校や仕事に行ったり、私たちの夢を実現することをじゃまするようなバリアをなくして、生活のすべての面に参加することができます。

第10条
 君はいのちの権利をもっています。それは、君への贈り物であり、誰もが君から取り上げることはできないものです。

第11条
 戦争や緊急事態、嵐などの災害のときには、身を守ってもらい、安全な状態になるような権利を持っています。

第12条
 障害があるなしにかかわらず、生活状の法律において平等です。

第13,14条
 司法を利用する権利があり、自由と安全確保の権利を持っています。

第15条
 拷問を受けたり、残酷にあつかわれたりしないという平等の権利を持っています。

第16条
 暴力や虐待から守られ、まちがって扱われたりしないという権利を持っています。

第17条
 あるがままのに身体的精神的な能力が尊重される権利を持っています。

第18条
 障害のあるなしにかかわらず、自分の名前をもち、国籍を持つ権利があり、知る権利と親に守られる権利を持っています。君は、君が望む国のどこであっても、自分の望むところで生活する権利を持っています。

第19条
 もし君が自立して生活し、地域で平等に位置づくことを願っているなら、君が生活したいと望んだところを選ぶ権利を持っています。
第20条  君は、移動したり、自立している権利をもっています。もし、移動するのに援助が必要なら、それを手に入れることができます。

第21条
 もし君が、手話、点字、その他の自分自身を表す援助の方法を使いたいときには、それを手に入れることができます。君は、自分自身を表し、君の意見を表す権利をもっています。君は、情報への平等な権利を持っています。

第22条
 障害のあるなしにかかわらず、プライバシーの権利を持っています。

第23条
 君は、家族とともに生活する権利を持っており、政府は君の世話をする家族を支援しなければなりません。もし、君が直接の家族と生活することができないなら、親戚や地域で世話ができるように支援しなければなりません。君には、大きくなったとき、結婚し、家族をもつ権利もあります。

第24条
 君は、学校に行く権利を持っており、障害があるからといって、教育を拒まれることはありません。政府は、この権利を実現するために、必要とされる支援を提供しなければなりません。たとえば、政府は、君がコミュニケーションできるように適切な方法を提供したり、先生が君の要望に応えることができるようにしなければなりません。

第25,26条
 障害によって差別されることなしに、よい保健サービスを受ける権利を持っています。君はすべての生活の分野に参加し、必要とされる援助を受ける権利があります

第27条
 障害のあるなしにかかわらず、仕事で、差別されることなく働く平等の権利をもっています。

第28条
 君は、差別されることなく、食事をし、衣服を着て、住居にすむ権利をもっています。

第29条
 障害のあるなしにかかわらず、君は、政治に参加し、投票したり、選挙で選ばれるように公的に援助される権利をもっています。

第30条
 芸術、スポーツ、ゲーム、劇場・博物館・遊び場・図書館における楽しい活動に参加する平等の権利をもっており、そのような場に、差別なく平等に行き来することができます。

第31条
 プライバシーの権利と障害についての調査や情報の収集について倫理的に取り扱われる権利をもっています。

第32条
 君は、アクセス、情報の共有、障害に関係するバリアを乗り越えるための援助で、国際的な協力を期待する権利があります。

第33条
 君の政府は、この条約に注意を払う必要があります。そして、政府は、条約に従い、障害のある人の権利を尊重するという約束を持ち続けるというステップをとることを明確にしなければなりません。

第34条
 障害のある人に関する特別な委員会が、条約に従っているかを明確にし、障害をもつ人の権利を守る際に、質問に答え、国と地域を導くことを行うために、定期的に集まることになります。

第35,36,37,38,39条
 この条約のメンバーか参加しているすべての国は、障害のある人の権利を守るために行っていることを特別委員会に報告を出すことになります。特別委員会は、君の声を聞くように、世界中のたくさんの専門家やグループとともに、仕事をすることになります。

第40条
 各国が経験を共有し、お互いに、障害のある人の権利を守り合い、条約の約束を実現することを支援する必要がある場合、定期的な会議が開催されます。

第41条
 国連の事務総長は、安全で確実な場所で条約に署名したときに、その国によって提出された約束を保持することになります。
第42条
 2007年3月30日から、国連のすべての国は、条約に署名することによって、障害のある人の権利を守るという原則に合意することができるようになります。

 第43,44,45,46,47,48条
君の政府が、いったんこの原則にする義務をもつことに合意すれば、条約を国内の法律にすることになります。それが、この条約の「締約国」になることです。

第49,50条
 いろいろなことばやいろいろな形式で利用ができるようにして、すべての子どもたちは、この条約について学ぶことができます。

君たちの生活の中でどのように権利は実現されるのでしょうか

 君の生活の中で、君が行き来したり、コミュニケーションをとったり、他の子どもと交流する時に、君が直面する障害や困難がどんな種類のものであれ、大人たちが、支援と援助をしてくれることになります。

 世界のすべての子どもは、それぞれ違う存在であり、違った考えや経験、習慣や能力をもっています。このような違いは、新しい可能性、新しい希望、新しい夢、新しい友人関係をつくり出しています。私たちの世界にいる人々の間の違いは、すべての人に認められ、共有される財産です。それぞれの子どもは、世界の家族の一員であり、そのユニークな能力で貢献しています。すべての子どもは排除されることはありません。

君たちが将来勉強することになる言葉

 ・アクセシビリティ
 ・配慮
 ・委員会  ・コミュニケーション
 ・地域
 ・条約
 ・尊厳
 ・差別
 ・言語
 ・批准
 ・権利
 ・ユニセフ
 ・国際連合
 ・世界人権宣言
 ・ユニバーサルデザイン


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