Ethnography
知の食卓73号 2002.1.3
Ethnography is recently used as one of the research method. It is said that the questionnaire is not panacea of the research method. It is
considered that the ethnography and questionnaire supplement their weak point each other.
最近、エスノグラフィ(Ethnography)という言葉を耳にするようになりました。辞書では、民族学誌という翻訳されていました。もともと異文化理解のため、様々な地域に出かけて、そこに住み、その地域の文化を紹介するための手法として用いられていたようです。それが、特別な地域だけではなく、新しい若者文化を紹介するためにも用いられているようです。例えば、「暴走族のエスノグラフィー」という本では、暴走族の言葉だけでなくポーズも紹介されています。座り方、車の乗り方に暴走族特有の形があるというものです。確かに、映画などで暴走族を描いているときに、そのような演技をしているようです。同じように、任侠の世界を描いた映画のもとになった本の著者は、その世界の人達にインタビューを行い、それを克明に記録し、解釈しています。これもエスノグラフィーの一つでしょう。
教育の世界でも、教育実践を発表するときに、子供の授業の様子、子供のノート、作文を提示することにより、授業の様子を伝えることはとても多くあります。この手法は、迫力があり、臨場感があり、聞いている人達に感動を与えるものです。一方、このような報告は抽出した児童生徒が恣意的で解釈も主観的であるという批判があります。そこで、大人数のアンケートをとるか観点を決めた観察を行い、それを統計的に分析することが重要であると言われます。教育の学術雑誌も従来は、後者の立場をとっていたように思います。ところが、最近は、前者の立場をとっていると思われる論文が掲載されるようになりました。「フィールドワーク」佐藤郁哉著によると、アンケートは、一見客観的に見え、一般化されているように見えるが、問題点が幾つかあるとされています。それは、アンケートの項目にどうしても主観が入るし、アンケートに答える人が、必ずしもアンケートの趣旨を理解しているとは限らないからだそうです。アンケートは浅く広くならざるを得ないというわけです。それに対し、Ethnographyは、狭く深くなります。アンケートの回答がどれくらい、回答者の真意を反映しているかは、その人にインタビューすることが必要となります。それを重ねていけば、Ethnographyに近くなります。
授業の観察の場合も、多くの子供を幾つかの観点に絞って観察した場合、どうしても表面の観察になります。どうしてそのような行動をとったのか、そのような発言をしたのかを知るには、インタビューをしなければなりません。また、インタビューをしても、信頼関係がなければ、本当のことを話してくれるとは限りません。Ethnographyの場合は、回答者と質問者の間の信頼関係を築くことを重要視します。
学校の授業であれば、通常授業している教師と子供であれば、ある程度の信頼関係が築かれているでしょう。それが、外部から来た一度きりの観察者に対してはどうでしょうか。
このごろ、注目されているPortfolioもEthnographyと同じような考えだと思います。
※「フィールドワーク」佐藤郁哉/新曜社/1992
「まぐまぐ(電子書店)」http://www.mag2.comに掲載
読者数700
ホ−ムペ−ジに戻る