知の食卓165号 2008.12.7

カイガラムシ Scale Insects

Do you know scale insects? Scale insects are famous for pests of crops such as citrus trees. Their bodies may be covered with waxy secretions that form a soft or scale like covering. The wax is natural plastic and is very useful for various products such as insulator, coating materials and ink. For example, SP record, food color and coating of chocolate and pill contain this kind of wax.

 カイガラムシを知っていますか。カイガラムシは、害虫として有名です。リンゴ、ミカン、ブドウ、モモ、ナシなどの果樹やお茶の樹に被害をもたらしています。日本の農家の方にとっては、とってもやっかいなカイガラムシです。

 カイガラムシは、昆虫です。カメムシ、セミ、アブラムシ、ウンカと同じ仲間のカメムシ目(半翅目)です。カイガラムシは、アブラムシと同じように甘い物質を排泄します。甘露(honeydew)とよばれている物です。アリがアブラムシの排泄する甘露によってくることはよく知られていますね。カイガラムシの場合は、アリではなく、菌を呼び寄せ、すす病やこうやく病を樹木に引きおこします。カイガラムシは、直接樹木について被害を引き起こすだけでなく、二次被害と言われる様々な病気を引き起こすので、面倒なのです。

 しかし、有用なカイガラムシもいます。  コチニールカイガラムシは、天然色素の原料として使われています。臙脂(えんじ)色です。カーミンという名称です。清涼飲料水、ハム、ソーセージ、ケチャップ、洋酒、キャンデーなどの着色料に使われています。僕の好きなカニかまぼこ(蒲鉾)にも使われています。医薬品、口紅、絵の具、織物の染料にも使われています。明太子にも使われています。色鮮やかな明太子には、石油由来のタール色素が使われていて、染めていないように見える明太子にはコチニールカイガラムシ由来のコチニール色素が使われています。

 ラックカイガラムシは、塗料「ラッカー」の語源となったカイガラムシです。雌が分泌する多量の排泄物(樹脂状)を集めて、分離精製し、シェラック(shellac)という樹脂とラックダイ(lac dye)という染料を作っています。染料は、中国では、紀元前2000年から使われていました。その後インドでも使われています。日本では、奈良時代に中国から送られています。正倉院にある「紫鉱」「臙脂」です。シェラックは天然プラスチックとしても知られています。用途は、家具の塗料剤、SPレコード、電球の接着剤、電気絶縁材、医薬品、食品のコーティングに使われています。バイオリンにも使われているそうです。現在、インドでの生産量が多いのですが、タイ、カンボジアでも生産されており、日本はおもにタイから輸入しています。

 イボタロウムシは、日本にいる有用なカイガラムシです。イボタロウムシの排泄物は、高級ロウソクの材料として使われていました。木製品のつや出しにも使われていました。会津ロウが有名だったそうです。 

 この話題は、大阪市立科学館の学芸員の岳川有紀子さんに教えていただきました。お礼を申し上げます。

「参考文献」
http://www.sci-museum.jp/server_sci/map/exhibit/3_3.html 大阪市立科学館
「カイガラムシおもしろ生態とかしこい防ぎ方」伊澤宏毅、農文協、2006
「カイガラムシが熱帯林を救う」渡辺弘之、東海大学出版会 2003



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