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コウモリ観察・マナー

コウモリのいるねぐらをみださないために

大台ケ原ビジターセンターの展示にコウモリ!

■2005.7.3.更新


コウモリ観察で知っておくべきこと


 1.コウモリをつかまえてはいけません。

 コウモリの捕獲には環境省の許可が必要です。「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(平成14年7月12日公布)により鳥獣捕獲の許可を受けないといけません。コウモリを手にとって見ることも「捕獲」行為に当たりますので気をつけてくださいね。
 例えば、家屋性のアブラコウモリが家にすみついて糞害に困っても、都道府県の動物保護課、環境省の許可なく個人の判断で捕獲したり駆除することはできないのです。コウモリは保護されていて、むやみにつかまえたり殺したりしてはいけない動物だということを知っておいてください。
 日本にいる哺乳類は約200種ですが、その23%にあたる47種が絶滅のおそれのある種とされRDB(レッドデータブック)で取り上げられています。しかも、その3分の2にあたる31種がコウモリなのです。これからもコウモリの保護がどれだけ重要かおわかりになるでしょう。


 2.コウモリのねぐらを見つけたら

 飛んでいるコウモリは超音波を駆使して飛んでいますから、いるぞということはわかっても、そう簡単にそれが何というコウモリかを調べることはできません。バットディテクター(コウモリの超音波を聞く器械)や、飛ぶ姿でコウモリの種はある程度、予想できますが、決定的にわかるためには捕獲する必要があります。しかし、その捕獲はむずかしく、研究者も四苦八苦している状況です。

バットディテクター(Mini3)

 そんな状況下ですので、地域の方だけがよく知っているというようなみなさんのコウモリの情報はとても重要です。その中で気をつけたいのは、夜飛んでいるコウモリの情報でなく日中にコウモリがいるという情報です。
 この情報は貴重ですが、コウモリが日中いるのはコウモリのねぐらだということに気をつけていただきたいのです。コウモリのねぐらは、家の屋根裏や洞穴や木のほらなどさまざまですが、ねぐらはコウモリの大切な睡眠や冬眠の場でもありますし、赤ちゃんを産む場所にもなるところです。もし、偶然コウモリのねぐらを見つけたり聞いても、たびたび中に入ったりするようなねぐらを荒らすことをしないでください。コウモリは結構、神経質です。コウモリがねぐらで脅かされるとそこからいなくなってしまかねません。
 もし、コウモリのねぐらを見つけたら、ねぐらに入って調べるなどせずに、できるだけそっとしておいてください。そして、可能であれば地域のコウモリの会の方に教えてくだされば少しでも日本のコウモリ情報が確かなものになります。


 問い合わせ
 ●紀伊半島の場合、
  <紀伊半島野生動物研究会コウモリ研究グループ>
   井上 龍一(奈良教育大学附属小学校 0742-27-9281 (呼) 電子メール inoue@nara-edu.ac.jp 

 ●全国の場合、
 @ <コウモリの会>
   〒249-0001 神奈川県逗子市久木8-20-3 コウモリの会事務局 電子メール chiropterajp@ybb.ne.jp

 A <NPO東洋蝙蝠研究所>
   住所:奈良県奈良市広岡町213−3 問い合わせ:0742−95−0023


 3.コウモリのことで知っておいて欲しいこと

(1)次の時期は特にねぐらをおびやかさないでそっとしてあげてください

6〜7月の分娩期・・・コウモリは、冬眠後に11月に交尾した時に蓄えた精子を受精させます。そして、6月中旬以降、あたたかいところをねぐらにして、メスの集団でお産をします。コウモリの子どもの数は母親が飛ぶために体を軽くする必要から1〜2頭です。そして丸裸で生まれます。しばらくはねぐらに赤ちゃんをおいて母親が食べ物をとり、母乳で育ちます。ねぐらは「ゆりかご」と言えますね。こんな時、ねぐらに入ると親子がパニックになり、子どもが壁から落ちてしまいかねません。自分の子どもしか育てないコウモリですから、落ちた子どもは母親とはぐれてしまえば飢え死にします。コウモリの子孫を残すための大事な時期だけに気をつけないといけません。

11月中旬の交尾期・・・コウモリがねぐらに集まります。かなり敏感で、簡単にねぐらの集団を散らせてしまい、その年の繁殖に大きな影響を及ぼす可能性があります。

12月〜3月の冬眠期・・・コウモリは冬眠前に蓄えた皮下脂肪を少しずつ使って食べ物の昆虫の活動が鈍る寒い冬を寝て乗り越えます。過去のデータによれば、洞穴性コウモリは時々目を覚まして洞穴内で水を飲むようです。
 例えばねぐらの洞窟に人が入るとその足音だけでもかなり奥まで響き渡ります。あたたかい洞奥で冬眠するコキクガシラコウモリのような種は簡単に目を覚まさせてしまいます。もちろん、目を覚ませば、冷たい体を温めて飛ぶわけですから貯蔵エネルギーをかなり使ってしまいます。冬の間は使うばかりの貯蔵エネルギーを減らすと越冬できなくなる可能性もあります。

(2)もしコウモリと出会ったら

コウモリにあまり強い光を当てない
 赤いフィルター(赤セロハン)をつけて減光して見ることは夜の動物でよく使われています。寝ているコウモリに光を当てないほうがいいです。ストロボ光の様な瞬間の光にはあまり反応しないと言われていますが、寝ているコウモリのことを考えますと、ストロボを使って写真を撮るのも本当は望ましいことではないでしょう。研究以外はさけてください。

★ この「紀伊半島のこうもり」で取り上げている写真は、奈良県近隣で全くわかっていなかった洞穴性コウモリの実態を明らかにするために、環境省(奈良県)の許可を得て調査しているときに捕獲しない代わりに写したものです。写真撮影を推奨するものではありません。

コウモリを追い回さない
 洞窟などのねぐらは、コウモリにとっての安らぎの場です。その中で、網を振り回したりしてコウモリを追いかけ回すのは問題外の行動です。興味本位にすべきではありません。ねぐらに入るだけでも十分コウモリにとっては迷惑なことなのです。

コウモリにむやみにさわらないで
 洞穴性コウモリは、冬眠期にはぐっすり眠りますので、ねぐらに入れば簡単にさわることができます。また、家屋性のコウモリでは分娩期に赤ちゃんがねぐらから落ちてしまうことがよくあり、拾った方もいるでしょう。しかし、その行為がどれだけコウモリに迷惑なことかも触れましたし、法律によって保護されている動物なので、さわることは「捕獲」と同じ意味であって、本来許されていません。
 さらに、コウモリの中には日本脳炎ウイルスの冬の温床になっているとか、ジストマなどの吸虫類が寄生していたりで、人間の健康を乱すかも知れない情報もあります。野生動物には、むやみにさわらないと言うことはコウモリについても同じです。
 目を覚ましたコウモリは、野生動物ですから人間を怖がって逃れようとかみつきます。例えば大型のキクガシラコウモリに咬まれたら血がどくどく出ます。そんなときに得体の知れないウイルスや細菌などが体内に入り込む可能性もあります。気をつけてください。


 4.コウモリ観察コード

 上記のこと以外にも気をつけなければいけないことはいっぱいあります。以下のWebにコウモリ観察コードがあります。参考にしてください。

コウモリ観察コード(Japan)
 コウモリの会で検討中の日本のコウモリ保護のための観察規範(案)

Bat Conservation Code (England)
 参考にしたいイギリスで提唱されているコウモリ保護のための観察規範


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